このページでは保育士の離婚率について紹介しています

保育士の離婚率は高い?実際の保育士の結婚事情を見てみよう

保育士は女性の多い仕事です。年々男性保育士が増えて来ているものの、看護師や薬剤師などと並んで、女性が多い職業の代表例にあげられます。

特に若い女性が多い保育士については、恋愛や結婚事情にまつわる話がまことしやかに取り上げられています。その中のひとつが「保育士の離婚率は高い」というものです。

実際には、保育士の離婚率について調査された正確なデータは見当たりません。同様のイメージが持たれている看護師に比べ、職員を対象にした調査があまり行われていないためです。そこで、データとは違った角度から保育士の結婚と離婚を見てみましょう。

保育士の結婚事情

保育士になって実際に園で働き始める女性たちの年齢を20歳ちょっととすると、働き始めて数年後には結婚適齢期が訪れます。一般の平均初婚年齢とほぼ同時期に当たるこの年齢で辞めてしまう保育士が多いのが、保育業界で広く知られている事実です。

実は保育士を辞める理由のトップが、結婚か出産のタイミングなのです。保育園は共働き家庭や働く女性を支えるイメージがあります。しかし実際のところは、肝心の保育士本人がその恩恵にあずかれていない場合も多いのです。

最大の原因は、仕事の拘束時間の長さです。一般の保育園は土曜出勤で、朝の7時から夜の7時位まで子供を受け入れていて、不測の残業も起こりやすい環境になっています。そのため結婚後の生活や育児との両立が難しく、やむを得ず退職を選ばざるを得ない保育士が多いのです。

このように、結婚や出産を理由に仕事を離れる保育士が多いのは事実です。一方、この年齢を乗り越えて保育士を続けている女性の中には、独身の人が少なからず見られます。

保育士の職場は女性が非常に多く、拘束時間も長いため、男性と出会う機会はほかの職業と比べるとやや少なくなります。こうした環境で仕事か結婚かの二者択一を迫られたとき、「自分は子供達と毎日触れ合えるこの仕事を頑張ろう」と考えて保育の道を邁進する女性もいるのです。

保育士は離婚率が高い、というまことしやかな話は、ここまで見て来た実際の状況とは少々違っています。離婚率が高いというより、結婚を機に離職する保育士が多いのと、未婚のまま仕事を続ける保育士がいるといった方が、保育現場の実情を捉えているでしょう。

つまり、実際の保育士の離婚率が高いとは言えません。離婚率が高いのではなく、結婚後に保育士を退職する女性がいる、男性と出会う機会が少ない、そのため未婚のまま保育士を続ける女性がいる、それが保育士の結婚事情なのです。この3点がごっちゃになって、「保育士の離婚率が高い」というイメージになっているのでしょう。

結婚後も保育の仕事を続けていくうちに、忙しくて夫との時間が持てず、また家事や育児との両立を目指して心身ともに消耗し、離婚に至る保育士もある程度の数はいるでしょう。ただ、忙しい仕事に就いている女性や変則的な就業時間で働いている女性は、保育士の他にも大勢います。この点だけを取り上げて「離婚率が高い」と語るのは短絡的と言えます。

同じく忙しい看護師の場合

忙しさでは保育士に負けず劣らずの職業、看護師はどうなのでしょうか。看護師の離婚率が高いのは、ある程度事実に近い話です。最大の理由は夜勤のある勤務シフトで、深夜12時からの深夜勤の他、夕方から深夜までの準夜勤があって、かなり変則的な生活にならざるを得ないのです。看護師と結婚した男性はこの特殊な生活時間帯に合わせなくてはならず、どうしてもすれ違いが生じてしまい、離婚に至ってしまうケースが出てくるのです。

保育士は確かに朝早く夜遅い勤務ですが、看護師ほど変則的ではありません。少なくとも就寝時間は夫と一緒の人がほとんどですから、夫の側もある程度の生活サポートが可能です。保育士は基本的に日曜休みなのも、看護師に比べ好条件と言えるかも知れません。

そんな看護師の女性でも、結婚して働きながら幸せな生活を送っている人は沢山います。こうした点から見ても、「離婚率が高い」イメージは妥当ではないでしょう。

結婚事情には給料も関係

もう一点、保育士のお給料も結婚事情に関係しています。待機児童問題を契機に、保育士の賃金が他の職業に比べ恵まれていないことが広く知られるようになりました。保育士の離職理由で、結婚出産の次に挙げられるのも賃金の低さです。

看護師の離婚が多いのは、お給料が高く離婚しても女性一人で自立した生活が送れるからです。一方、保育士のお給料は自立出来るほどとはいえず、多少のいさかいが夫婦間にあっても離婚しない女性が多いのです。特に若くて昇給がこれからの保育士ほど給与は低いですから、経済的な事情を考えて離婚を選ばないケースはままあります。

結婚や出産を機に保育士の仕事を退く女性が多いことは、先に述べましたが、これも保育士のお給料の低さが原因のひとつです。夫と自分のどちらが外で働いた方が収入が高いを比べた時に、将来性を考えても自分が退職したほうがいいとなりがちなのです。

この保育士の給与問題はより広い視野で語られるべきで、離婚率と直接結び付けるのはやや乱暴かも知れず、今後の推移に注意すべき課題と言えます。

変化する保育士の結婚事情

保育士の結婚を巡る環境は、少しずつですが改善してきています。結婚後のライフスタイルの変化に合わせて、働く時間や勤務地を選べる保育施設が増えてきています。また、保育士専門の転職サイトも存在感を増していて、夫や家族との時間を優先して働ける園を簡単に探せるようになりました。

保育士は確かに忙しい仕事です。しかし、強いやりがいを持って結婚後も働き続けているママさん保育士は数多くいます。また、一度園を離れた女性の半分以上が、もう一度保育の現場に立ちたいと考えているデータもあるのです。そうした女性の多くが結婚し子育てをしているのですから、保育士を目指す女性が「離婚率が高い」と気にする必要はないと言っていいでしょう。

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