保育士等のキャリアアップ研修についてご紹介


保育士の待遇改善に向けていろいろな動きが見えはじめました。
技能・経験を積んだ保育士は、その技能や経験に応じた金額が月収に上乗せさせる制度ができています。
保育士の賃金改善と、キャリアアップの仕組みをつくるためにできた、「保育士等のキャリアアップ研修」についてお知らせします。
保育士のキャリアアップとは?
保育業界の組織図は、企業や公務員などの組織とは違って部署や役職が少ない現実があります。
そのため、昇給する機会は少ないです。
つまり、保育士はキャリアアップしていくことが難しい職業なのです。
一般的な保育園内の組織図は、園長をトップにして、主任保育士、3歳以上児保育リーダーと3歳未満児保育リーダー、その下に各クラスの保育を任される保育士たちとなっています。
保育園によっては、園長の下に副園長を置くところもあります。
このように、保育園では役職が少ないためにキャリアアップの望みが少ないのです。
保育士等のキャリアアップ研修
こども・子育て支援新制度による「保育士等のキャリアアップ研修」とは、保育現場におけるリーダー的職員の育成に関する研修のことです。
子どもや子育てを取り巻く環境が変化し、保育現場に求められる役割が多様化・複雑化してきています。
そのため、保育士に高度な知識と技術が求められるようになりました。
保育士の資質を向上させると共にキャリアとして認め、キャリアアップしていける制度を作り上げていく目的があります。
保育士等のキャリアアップ研修の内容は?
キャリアアップ研修の分野と対象となる保育士
「保育士等のキャリアアップ研修」には3つの分野があり、それぞれの対象となる保育士が違います。
研修の分野 | 対象となる保育士 |
---|---|
専門分野研修 | 保育所等の保育現場において、各専門分野に関してリーダー的な役割を担う者(当該役割を担うことが見込まれる者を含む。) |
マネジメント研修 | 各分野におけるリーダー的な役割を担う者としての経験があり、主任保育士の下でミドルリーダーの役割を担う者(当該役割を担うことが見込まれる者を含む。) |
保育実践研究 | 保育所等の保育現場における実習経験の少ない者(保育士試験合格者等)又は長期間、保育所等の保育現場で保育を行っていない者(潜在保育士等) |
【キャリアアップ研修の内容】 専門分野研修
専門分野研修は、次にあげる6つの分野に分かれて研修をおこないます。
- 乳児保育(主に0歳から3歳未満児向けの保育内容)
- 幼児保育(主に3歳以上児向けの保育内容)
- 障害児保育
- 食育・アレルギー対応
- 保健衛生・安全対策
- 保育者支援・子育て支援
研修を受ける保育士は、これら6つの専門分野それぞれの理解を深めて、保育に反映することができるような知識・技術を身につけることが求められます。
さらには、他の保育士に助言・指導ができるような実践的技能を身につけるための内容となっています。
【キャリアアップ研修の内容】 マネジメント研修
副園長、主任保育士などの管理職の下で、ミドルリーダーとして、園の運営や保育の質を高めるために必要な、マネジメント・リーダーシップの能力を身につける内容の研修を受けます。
【キャリアアップ研修の内容】 保育実践研修
環境構成、子どもとのかかわり方、いろいろな分野の遊びについて学ぶなど、保育実践の経験が浅い保育者を対象にした研修です。
研修終了証について
各分野共にそれぞれ15時間以上の研修を受講し、レポートの提出などで研修修了が認められます。
研修修了者には、都道府県または研修実施機関から修了証が交付され、全国の保育園で有効となります。
研修修了証は、離職後再就職する場合も執行することなく、引き続き有効となります。
キャリアアップで処遇の改善を
「保育士等のキャリアアップ研修」と保育士の処遇改善とは結び付いています。
子ども・子育て支援新制度によって、保育士の処遇改善が行われるようになりました。
平成30年度以降は、職員の研修受講状況等を踏まえて、処遇改善の要件が決定されることになっています。
処遇改善の対象者の要件は次のとおりです。
月額4万円の処遇改善の対象者
- 経験年数が概ね7年以上
- キャリアアップ研修のうち4分野以上の研修を受講していること
月額5千円の処遇改善の対象者
- 経験年数が概ね3年以上
- キャリアアップ研修のうち担当する分野の研修を受講していること
月額4万円の配分については、各施設の判断で、技能・経験がある他の職員にも配当することができます。
ただし、月額4万円の処遇改善対象者の1/2(端数切捨て)は、満額の月額4万円の支給を受けることが条件となっています。
まとめ
保育士のキャリアアップ制度を確立させていくために、こども・子育て支援新制度の下、「保育士等のキャリアアップ研修」が行われるようになりました。
これは保育士だけが対象ではなく、幼稚園教諭や認定こども園の保育教諭も対象となっています。
キャリアアップ制度を構築して、低賃金といわれている保育業界全体の賃金引き上げを目指しているのです。
「保育士等のキャリアアップ研修」は、保育士に高度な知識と技術を身につけることと、より高いリーダー性を養う内容となっています。